第一章◇幸福なる悩み◇

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  顔を朱に染めた零… 小刻みに震え その瞳は僅かながら潤ん…ん? 『っっ…っんっ…きゃはっ…あはっ』 目を逸らし縮こまる 『駄目ぇっくすぐったいよぅ』 手を引っ込める零を、逃さぬよう身を乗り出し迫ろうとした時… 『りょっ龍馬さんっ顔に…顔に…髭っうふふふふっ』 『むぅっ?髭なら今朝方あたったがや…?』 突然のふりに戸惑った隙に、するりと逃げられてしまった 『んもぅっ。怪我人はもう少し大人しくしてくださいよ。今、水桶を持ってきますね♪ふふふふっ』 こうなると、もう迫る雰囲気は消えてしまう 『いや…零…わしは別に』 暫し後で零が用意した手桶の水面に映るわしには 鼻の下に無様に墨髭がついちょった… 台無しじゃ。 わしの阿呆ぅ。 第一章【終】  
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