溺愛溺死

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深く深く 逆らえず墜ちる 強く強く この胸を圧迫する 君は この星のどんな重みよりも 僕の胸に 強くのし掛かる 息苦しくなり 気泡と共に溢れ出す 愛の欠片 所詮 重力には逆らえないまま 所詮 君には逆らえないまま その笑顔に その温かさに 沈んでいく 何度だって 浮かび上がろうと 目を逸らした 何度だって 息をしようと 手を放した それでも 引き寄せられては また 息も出来ないまま 君の胸の中に 墜ちていくの 冷たく無情に集めた 私の欠片 温かく愛情に墜ちた 私の心 ねぇ だからさ 君も 墜ちてゆけ 私の深く重い 愛の中に 手を伸ばして 足をばたつかせて 息をしようと もがいてごらん 足掻いてみてごらん 私を愛した君は もう 浮かび上がれない 重くのし掛かる 愛の重力に 抵抗もせず 墜ちていった君に 絡み付けた 私の弱さ 縛り付けた 私の醜さ それでも 君は そんな理不尽な愛を『幸せ』と呼んだ ねぇ だからさ 君のことを 痛みと息と共に 連れ去って 息も出来ない程深く 言葉にならない程強く 私と一緒に 溺れてしまおうよ もしも 息が出来ず 君が苦しむその時は 私が君にあげるから その口を塞いで 与えるから どこまでも 墜ちてゆこう 共に 息絶えて 愛を溢そう _ 南
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