沈殿

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惨殺な世の中に 広がる鉄の香りは 人々の頭を 狂わしていくんです 鮮やかな青は 視界の済みに片付けておいて 黒く濁った赤を その瞳に塗りたくりましょう ほら そうすれば見えてくる アナタが記憶の底に沈めていった 沢山の想い達が ほら そうすれば触れられる 冷たく凍りそうな程に 冷えた心にさえ 誘う黒い手 その希望を信じ 導く白い手 その失望を知れ 己の体に刻まれて抜けない色は いつか作り上げた色ですら 犯し始める そして そのまま 染まれ 染まれ 染まれ 顔を上げて 重い瞼を開いて 薄い笑顔を浮かべて 目の前に広がる世界を愛せ 硬く固まっていく 濁った赤に足は取られ 抜け出せなくなった この世界 鼻について離れる事が無くなった 鉄の匂い いつでも視界の中には 誰かの声 型どられたそれは意味も無く 宙に舞った その声の持ち主になる前に 殺せ 殺せ 殺せ 刻まれる記憶 それこそが生きてる証 媚びりつく赤 それだけが生きる意味 だから 生きて殺して笑って 僕に その声が届くまで _ 南
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