出逢い

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迎えに来ました…とは言わないが、そんな表情で僕を見つめている。 「衛さん?」 …ちょっと恥ずかしい。 周りの子達がこっちをチラチラ見ていた。 「あー…」 違います、彼女とかではまだないです。 …だったらいいけど。 「あの、公園に行きませんか?ここだとちょっと」 「公園?」 「うん」 僕はそう言うと、歩き出した。 彼女も後ろから着いてくる。 五分ぐらいは歩いただろうか。 「衛さーん!」 振り返ると彼女が少し遠くに居た。 「こっちの方が早いよー!」 「え」 彼女はなんだか狭そうな路地を指差して言っている。 僕は戻って、その路地…と言うか、隙間を見る。 「これ、僕、行けるかな…」 …今の体型だと不安だ。背は173センチ、体重は57キロだ。デカ過ぎる。 「大丈夫。前はよく一緒に通ったでしょ?」 彼女は言った。 「あ…」 そして、困った顔をして下を向いてしまった。 白い息が静かに流れて、揺れて、消えていく。 「…前にも?」 僕は言った。 だけど、彼女はその先を話そうとしない。 …やっぱり。 「やっぱり、前にも会ったことあるのかな…?」 僕は聞いた。 彼女は僕を少し見て、困ったように笑った。
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