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あたしは深い溜め息をついて、机の上に項垂れる。
安積くんが彼氏になってくれるのなら、話はまた別なの。
浮気するなっていうならわかるの。
でも、あたしのこと彼女にする気もない。
もう意味わかんない。
「また安積に虐められているの?和沙」
あたしの席まできて、あたしの唯一の友達、密香さんは聞いてくれる。
そう。安積くんという、あたしにとっての疫病神が、あたしにずーっとつきまとってくれているおかげで、あたしには女友達もできなくて。
ただ一人、密香さんだけがあたしの友達になってくれたのだ。
とっても美人なお姉様って感じの密香さん。
安積くんとなぜか対等に渡り合える最強美女だとあたしは思う。
密香さんがいると、安積くんもあんまりあたしに近寄ってくることもないし。
「密香さーんっ」
あたしは密香さんに両腕をのばして、密香さんはあたしを抱きしめて、よしよしと頭を撫でてくれる。
もう、あたし、レズになろうかとも思えるくらいだ。
密香さんはあたしの話を聞いてくれて。
「和沙にはわたしの兄を紹介してあげようか?3つ年上の大学生だけど」
密香さんはあたしにそう言ってくれる。
密香さんのお兄さんって、なんだかかっこよさそうだ。
だって密香さん、こんなに美人だし。
あたしは密香さんと、そのお兄さんのことで少し盛り上がっていた。
「おい、周防。なに話してんだよ」
なんて、あからさまに不機嫌に安積くんは密香さんに声をかけて。
密香さんは安積くんを冷たい目で見る。
「あんたには関係ない」
「関係なくはない。そいつは俺の奴隷だ」
「馬鹿じゃない?高3にもなって」
なんか密香さんはひどく冷たくて。
だからこそ、安積くんもたじろぐ。
あたしにとっては、密香さんのそばにいれば最強だ。
「おまえ…、ムカつく」
「あんたに気に入られたくもないわ。わたしの友達の和沙を虐めるのは、もうやめてもらいたいわね」
密香さん、最強っ。
あたしは密かに、きゃっきゃっと喜んで。
それを安積くんが睨みつけてきて。
あたしは慌てて密香さんの背中に隠れる。
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