奴隷

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そう。あれからもう2年が過ぎて、今はもう高校3年なのだ。 最初の頃のあたしは、その安積くんのどSっぷりに、見事にハマって、振り回されまくった。 安積くんの奴隷だった。本当に。 言うこと聞いていれば、そのうちくれるのかなっていう…、そんな期待もあって。 でも彼は本当にあたしの期待を裏切ってくれる。 あたしはひたすら彼の奴隷だ。 求める気持ちも色褪せて、せめて彼氏が欲しいとも思ってくる。 こんな奴隷をしていたら、彼氏なんてできるはずもなくて。 だけど、安積くんはあのとおり、いろんな子と遊びまくりの自由な人。 あたしの相手はする気もないくせに、なんかずるい。 ということで、反論してみたら、見事に打ち砕かれてしまったわけである。 それでも…。 あの意地悪な人は、あたしに彼氏をつくらせないようにか、事あるごとにあたしの近くにいてくれて。 あたしがクラスの男の子と話していたら、あたしの肩にその腕が回ってくる。 「なに話しているんだよ?メガネザル」 「安積、おまえ、なにやってんの」 男の子は笑って、安積くんの行動に言って。 あたしは慌てて安積くんの腕をあたしから引き離そうとして。 そしたら、強くあたしは安積くんに引き寄せられて、あたしの鼓動、高鳴ってくれちゃう。 もういやだ、あたし。 こんな自分がすごくいや。 「これは俺のだから。気安く声かけんなよ」 なんて言って男の子を追い払ってくれて。 男の子は笑いながら、ひやかして背を向けて。 あたし、安積くんとつきあってなんかいないのにっ。 すべての男の子とのきっかけ、潰されまくっちゃう。 「あっ、あたし、安積くんとつきあってない…でしょ?」 「つきあってない。けど、おまえは俺のだって言ってんだろ。俺の奴隷。おまえに男なんて作らせるかよ」 すっごくひどいと思う。 なんでこんなにいじめられなきゃいけないんだろう? あたし、安積くんに何もしていないのに。
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