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「すご、龍、また100点だ」
「別に凄くねぇし。
簡単だったろ、このテスト」
「…………」
じゃあ15点をとった
私は一体何なんだろう。
そう思いながら隣の席の
龍に尊敬の眼差しを向けた。
「…で、でも、
100点はすごいよ!
龍にわからない事なんて
ないんじゃない?」
だってこの前のテストも
100点だったし、
今日だってさっきの時間
大学レベルの問題を
意図も簡単に解いてみせたし。
いろいろ物知りだし。
すごいなあって思う。
でも外見は少し
不良っぽいんだよね。
話してみるとそうは
思わないけど。
うんうんと
一人納得していると、
龍は自分のテスト用紙に
目線を落とした。
伏せられた
睫毛がキレイだなと思った。
「俺だって…なんでも
分かるわけじゃね-よ」
「………え?」
「俺にだって解けない
問題はあるし」
「え、あ、そうなんだ。
…例えば?」
「…めちゃくちゃ難しいけど
解いてみる?」
「う、うんっ」
私が少し焦りながら
そういうと、
龍は自分の
シャ-ペンを手にとり
「――――――‥」
100点と大きく赤い字で
かかれた、その横に
"Q.どうしたらお前が
俺の事、好きになるか"
とキレイな字で書いた。
そして、そのすぐ下には
"A._________"
と書いたかと思うと
「これ、難しすぎて
俺には解けねぇ」
甘い声とともに私を見下ろした。
ぁあ、もう。
馬鹿―――――――。
涙を堪えて
私はペンを持つ。
その手が微かに
震えていたのは、内緒。
「私、この問題解けるよ」
"A.何もしなくていい
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
ペンをおいて、
精一杯の笑顔で伝える。
「ずっと前から、好きでした」
弾けた、君の笑顔。
真っ赤だったのは
暑さのせい。
そういうことにしといてあげる。
「――――――俺も」
始まりは
100点のテスト用紙
からでした――――。
【END】
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