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『れーん!』
笑顔で手をブンブン振るソイツは、
まるでパタパタ尻尾振る
ひとなつきの良い犬みたいだ。
『蓮、なあなあご飯一緒たべよーっ』
はいはい。
俺の微妙な表情の変化を読み取ったアオトが、最大級の笑顔になり弁当を開き始める。
『蓮、あのね!』
会話はひたすらアオトのターン。
よくそんなに話が尽きないのだと感心する。
アオトが作ってきた弁当を食べる。
今時の高校生男子の料理スキルにしては高いと思う。
『蓮、蓮、あのね!』
アオトは満面の笑顔をうかべた
『消えたいよ』
その瞬間体を巡った感覚をなんと形容すればいいのか。
血が鳥肌を立てた。まああり得ないのだけどそんな感じで。全身がざわつき弁当箱などどうでもよくなり手を離す、アオトの細い首を掴み思い切り力を
合った目は
なにもかもを受け止める静かな湖のような色だった
『………ヤッバ!月曜日じゃん』
いつも通りの笑顔と
明るい声。
『ジャンプ今週気になるんだよね、それ見てからでもいーや』
俺は少し微笑み、手を離した。
アオトは無意識の消えたがりで
俺は意識的な、加害者なりたがり。
『れーんっ、コンビニいこっ』
そんな僕らは今日も仲良しこよし。
今日もアオトは
世界に絶望してる自分に浸ってる
(俺っていう名前の光ならいつだって隣にあんのにね)
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