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好きだよ
って
私が言うと
知ってるよ
って
彼が言った。
一年前は
私が好きです
って言っても
俺は好きじゃない
って淡々と返してきたのに
今でも
好きだなんて
未だに言ってくれないけど
一緒に居るだけで
幸せなんだよ。
ねぇ
って言えば
なに?
って振り向いてくれる。
手を伸ばせば
届く距離に居る。
メールだって
電話だって
何回でも出来る。
あんまりすると
怒られちゃうけど。
絵文字付けてくれないけど
キスしても
笑ってくれる。
頑張ってよかった。
みんなに無理だって言われたけど
背中追っかけてよかった。
何度も気持ち伝えてよかった。
悲しい日も
諦めそうになった日もあったけど
好きです
って言ったら
負けたよ
って笑顔見せてくれた
あの日のこと
今でも思い出すと
ニヤけちゃう
「そんなところで寝たら風邪引くぞ」
と隣で本を読みながら彼がうたた寝する私に声をかけてくれる。
薄れていく意識の中「少しだけ」と言いながら、眠りについていく。
ふと彼が立ち上がりどこかに行ってしまった。
トイレかな。
目を閉じたまま
彼の気配を探す。
すると静かな足音と共に戻ってきたかと思ったら、
フワリと私にブランケットをかけてくれる。
ありがとう
と言おうとするけれど、睡魔に邪魔されて声にならない。
すると、私のおでこから頬にかけて
大きな彼の手に包まれた。
その掌から
じんわりと暖かさが伝わり、まるで「好きだよ」って言われてるみたい。
2・3度私を撫でて、また彼は本を読みはじめた。
喉の辺りがギュウっと熱くなり、閉じた瞳から涙がこぼれる。
好きだよ
大好きだよ
メールに絵文字がなくても
電話私ばっかりかけてても
伝わってるよ
一年前の私に会えたら
言ってあげたい。
きっと伝わるよって。
追いかけても
追いつかないと思ってた
彼の背中。
今じゃ彼の隣で
眠れるんだよ。
頬を伝った涙が乾いたころ、私は眠りについた。
遠くで
彼がページをめくる音がきこえた。
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