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退屈だった当番の日に、楽しみができた。
なんとなく校庭を眺めるのも、注目する対象ができただけで全然違う。
たとえば高校野球。行った事もない県同士の対戦を観てても眠くなるけど、自分の住んでる県の代表校の試合なら、なんとなく一生懸命見てしまう。よく考えたら、別に会った事もなければ、この先一度も関わることのない人たちの試合ってことに変わりはないんだけど。
でも、なんとなく応援してみたりする。まあつまり、そういうことだと思う。
図書館の窓からでも、バスケの練習風景の中に、圭介を見つけるのは難しくない。
なぜならダントツで一番背が高いから。
そして、ダントツでへたくそだから。
ボールを持ってもすぐに取られる。
走っていると置いていかれてる。
圭介が走っている姿は、なんだか長すぎる箸を使っている人間を思わせる。足が長いのに神経が行き届いてないっていうか。
それに、笑っちゃうほど内股だ。
内股でペタペタ走る姿は、とてもバスケ部には見えない。
あれは、すぐに退部するだろう。
私はそう思っていた。
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