嫌な始まり

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目の前に中学生ほどの女子がいる。 そいつが今の言葉を発したのだろう。 ここは俺の家のはずだ。 両親は朝から海外へ、俺は一人っ子。 家の中に人がいるはずがない。 どうやって入ったんだ… それに…おにぃちゃんって…… 虫ずが走る!! 考えろ… この状況で最優先すべきことは何か。 考えろ、考えろ俺。 まずは、目の前に存在する人間の正体を知ることだ。 よし、行動しよう。 「お、お前は誰だ?」 や、やばい…テンパっている! 「おにぃちゃんの妹だよ。」 ありえない… 「俺には妹なんか…い、いないぞ。」 い、いるはずがない 「おにぃちゃんひどい…」 な、泣いてる…だと!? どうすれば… 考えろ… 考えろ… 考えろ… 「はぁ…つまんない。もっと面白い反応出来ないの?ずっと一人で頭抱えて…。せっかく私が初対面だから友好的に接しようと思って可愛い妹を演じてあげたのに…。素直に妹の存在を受け入れなさいよ!!これだから根暗な奴は嫌なのよ…」 ……………………… オレの頭は思考を停止した。 何も考えられない… 「シャワー浴びてくるから、ここにある荷物全部2階の私の部屋に運んどいて。中身見たらアンタの眼球に塩酸垂らしてあげる。」そう言って、目の前の異人は玄関に積まれている段ボールを指差して奥へと消えてしまった。 … 俺はどうすればいいんだ…? とりあえず段ボールを運べと本能が言っている。 思考は停止したままだ。 体が自然と動き、段ボールを運びだす。 何も考えずに行動するなんて… こんなの俺じゃない。
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