終わりとはじまり

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「別れよ」 「えっ、どうしたん急に。なんで?」 「好きじゃなくなってん」 時は俺が大学一回生、19になったばかりのバースデーを一緒に祝ってもらってから三週間が過ぎた頃。 薄々気づいてたというか、いつかこうなるだろうと感じてた矢先の頃だった。 父の転勤と、高校卒業がたまたま重なり、俺は卒業後、家族で兵庫県神戸市に移り住むことになった。 灘区から二時間半かけて通う大阪での大学生活と、帰宅後は神戸の三宮でテレアポのアルバイトをする毎日。 テレアポを選んだのは単に時給がよかったから。 教材の電話をかけ、もちろん断られるのが商売のバイトだが、学生で遊ぶ金が欲しかった俺にとって、時給900円は魅力的だった。 五時間勤務で4500円。週三で月54000円といったところか。 周りの奴らと比べても、大学生ではほんの少し多いくらいの収入。 新潟の田舎から出てきた俺は、いわゆる典型的な大学デビューの一人で、服装から髪型まで入学した頃から比べて、半年たった頃にはキレイめな感じでえらくアカ抜けていた。 そんな時に三宮でナンパして出会ったのが、同い年で外大に通うあき。 見た目はギャル風で髪は金パツに近いストレートで肩下くらい、服
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