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「少し前から住まわせて貰っとる分、整理されとんな~。」
「少し前って言っても、一昨日ぐらいからだぞ。……それよりほら、さっさとネクタイのやり方教えてやるからちゃんと覚えろよ。」
「と、その前にひとつ質問や。」
片手を上げ、レンを制するディオ。
面倒臭そうなジト目でディオを見るレン。
「結局聞きそびれたが、昨日フェルトちゃんと何話しとったんや?」
「……まずはこっち方を長めに取って――」
「わっかりやすい無視やの~。そんなに人に言えない秘密のお話やったんか?」
朝から他人のニヤケ顔を見るのは、かなり苦痛だ。
それがコイツなら、苦痛を通り越して呪いの域になりそうだ。
「つまらない事言ってるようなら教えねぇぞ?……って、もうこんな時間じゃねぇか。ほら歩け。行きながら説明してやる。」
「あ、ちょ、ちょい待ちやレン!そない急がんでもエエやろ!!」
部屋を出たあともしつこく聞いてくるディオ。
流石にこれ以上付きまとわれるのは鬱陶しい。
それに、考えれば別に言っても自分に損はないわけで……
レンはエレベーターに乗り込むと、肩を落としながら昨晩のことを話した。
「夕食を分けてくれって頼まれただけだっての。…お前が想像してるようなおいしい話なんてこれっぽっちもしちゃいねぇよ。」
「夕食を分けた?…それくらい、別にさっさと話してくれたってエエやないかぁ。」
「お前の顔が原因だ。」
「お、お前…。さらっと酷いこといいよるな。」
レンの苦言に、笑顔をひきつるディオ。
そして、自分の頬や目元を揉み「そんなに気持ちわるい顔しとるか?」と、自問自答を横で繰り返していた。
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