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「ん?…あれって確か、ロッティちゃんか?」
寮を出た所で、見知った顔が立っていることに気づいた二人。
ピンクの長髪が風に揺れ、見覚えのある横顔だと分かった二人は、視線を交差させる。
このまま知らんふりをして、前を通り過ぎる訳にもいかないだろう…
第一、そんな事をしたら絶対印象が悪くなる。
少し駆け足でロッティに駆け寄るディオに、レンはため息をつきながらついていった。
「おはようさんっ、ロッティちゃん。」
「…?…えっと……レンと…、キツネさん?」
ズザザザザ!!
ゆっくりとこちらに振り向き、鋭い切れ味を持った一言。
その言葉の刃が、ディオを一刀両断した。
ディオは盛大に前のめりにコケると、地面と熱いキスをかました。
「だ、だからなんでワイがキツネなん!?レンは覚えとるのに、自分だけ扱いひどくないか!?」
地面に突っ伏しながらの猛抗議。
そんなディオの叫びに、ロッティは可愛らしく小首をかしげ…
「だって……顔が印象的、だし。」
「グフッ!?」
容赦ない第二波。
それを見ていたレンは、(えげつねぇ)と心の中でつぶやく。
「え、エエかロッティちゃん!印象的なのは否定せん!け、けどな!この薄目は自分のチャームポイントやねん!それを狐って…色々とどうなん!?」
「お前…。自分でチャームポイントとか言ってて悲しくならねぇのか?」
「悲しくなるに決まっとるやろ!こんな惨めな姿家族にも見せられんわ!!」
「おまっ…、顔近づけんな、唾飛ばすな、鼻血垂れ流すな…。あと、俺の知ってる可愛いキツネ像を汚すな、キツネもどき。」
「お前らが自分を馬鹿にするからやろ!ってか、どさくさに紛れて狐言うな!」
「いいじゃねぇかよ。個性があるってことはいいことだぞ?なぁ、ロッティ。」
レンは隣にいたロッティに目配せすると…
「……こんッ…。」
自分の手で狐の耳を再現し、可愛らしく鳴き声を真似る。
「ぐぉふっ…!?あ、朝からワイを悶え殺す気か!?」
ロッティのアタックに悶えるディオ。
ちなみに、レンにもさっきのアタックは効果抜群のようだった。
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