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「ところで、なんでここに一人でいたんだ?…誰か待ってるのか?」
目の前で叫ぶディオを視界からシャットアウト。
横に居るロッティに話しかける。
「フェル、朝に…弱いから……。」
「そうなのか?朝には強そうに見えるけどな?」
「ちなみに、私も弱い……。」
「いや、そこは無表情でピースするようなところじゃないだろ。」
無表情でピースをするロッティに、どう対応すればいいか困るレン。
なんていうかこの子、凄くマイペースだな…
数分後、エレベーターから降りた人物が、かなりのスピードでこちらに向かって走ってきた。
「ご、ごめんロッティ!…って、あれ?」
よほど急いだのだろう。
昨日はポニーテールに結っていた赤い髪が、今はストレートロングになっていた。
フェルトはロッティと一緒にいるレンとディオを見ると、瞬きを繰り返す。
「おはよう…フェル。」
「あ、アンタたちも一緒だったのね…。あ、そうそう。ご飯ありがとね、レン。おかげで餓死せずに済んだわ。」
「それはさすがに言いすぎだろ。…と言うか、その髪はどうしたんだ?」
「え?…あぁ、これ?結んでる時間もなかったのよ。それにロッティも待たせてたしね。…学園についてからでも結べるし。」
そういったフェルトは、地面に体育座りして人差し指で地面をなぞっているディオを指さした。
「ところで、朝からナイーブになってるコイツはどうしたの?」
「…そう言えば、さっきから妙に静かだったな。」
三人は、視線を伏せブツブツとつぶやいてるディオを見た。
「(なんやねん、これ…。そりゃ、自分だって顔が特徴的なのは分かっとるけど、そこまで弄るか普通?これが都会か?都会の若者いじめなんか?アカン、ワイこんなん耐え切れる自信ない)」
お経を読むように、ブツブツとつぶやき続けるディオ。
さすがに、その姿に戦慄を覚える三人。
「(ちょ、ちょっとちょっと!なに?これ一体どうしたの?)」
「(さすがに弄りすぎたか…)」
「(……反省)」
苦笑いを浮かべ頭をかくレンと、無表情で手を合わせ謝るロッティ。
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