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ミオは踵を返すと、教卓に向かいながらもう一度話を始めた。
「さて。遅刻ギリギリな上、話を聞いていなかった奴がいるからもう一度言うぞ?」
(俺としたことが…。"目立たず平穏に"を掲げてるのに、注目を集めてどうすんだよ)
レンはデコを摩りながら、教壇に立ったミオをみる。
「一時間目は属性検査をするから、第二多目的室に集合だ。遅れずに集合すること。……特に、先ほど遅刻ギリギリで登校してきた四人は注意しろよ?」
「「は、はい!!」」
ミオに流し目で睨まれ、レンとディオを姿勢を正して即返事。
ミオが纏っていた刺々しい雰囲気も、二人の返事を聞くとやんわりと優しくなる。
クラス中に笑いが広まり、四人は恥ずかしさで顔を赤くしながらホームルームは終わった。
「ほら、さっさと移動するぞ。いつまでへばってんだ?」
レンは、隣で軽く放心状態のディオを揺すった。
「あ、アカンて…。もうちょい休ませてくれや。」
時間が空いた分、疲れがぶり返しているのだろう。
レンは溜息を吐いてフェルトたちを見たが、女子に囲まれ一緒に教室を出ていった後だった。
悪いことをしたなと反省していたレンのもとへ、歩いてくる生徒が三人。
その三人は、まだ席に座っていたレンとディオのところまで、まっすぐ歩いてきた。
先頭を歩く男子生徒と、その取り巻きと思える二人の男子。
先頭は金髪のオールバックで、目鼻立ちがくっきりした、いわゆるイケメンという部類に入るやつだろう。
背筋は伸び、堂々とした佇まいから、育ちの良さがよくわかる。
(これが、グレイヴの言っていた…)
いわゆる貴族階級の生徒。
だが、育ちの良さと比例して、どこか周りを見下している感じが、雰囲気で分かってしまったレン。
現に、自分たちの前に歩いてきたその三人は、一度二人を鼻で笑ってから話を始めた。
「フンッ…。やはり田舎者はやる事がいちいち派手だな。我々のような優雅さなど欠片も感じられん。」
「なんやと?」
金髪オールバックの一言に、ディオは眉間にシワを寄せ睨みつけた。
その表情に、いつものような笑顔はない。
「やめとけ、ディオ。回復したんならさっさと多目的室に向かうぞ。これ以上ミオ先生に目をつけられたくねぇだろ。」
グレイヴから話を聞いていた、いわゆる"面倒な部類の貴族"。
その匂いが、目の前の三人からプンプンと匂ってくる。
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