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まだ教室に残っていたクラスメイトたちは、レンたちを見ながら、恐る恐る教室を出ていく。
中には留まって心配そうな視線を投げかけてくる生徒もいるが、仲裁に入る事まではできないようだ。
(まぁ、そりゃそうだろうな…。こっちの世界じゃ、まず初めに権力がモノを言う。誰だって、そんなヤツに目をつけられたくねぇだろ)
グレイヴからの忠告通り、これ以上関わりたくないと思ったレンは、ディオを諌めながらともに立ち上がる。
だが、そんな二人に、この三人は構わず言葉を続ける。
「フンッ。作法も知らない上に臆病ときたか。」
「少し絡んだだけで怖じ気づいたのか?」
「貴様達のような者たちがいるせいで、周りからは我々の品格まで疑われる。…デカイ顔をするのはもう止めて貰いたいのだがな?」
ここぞとばかりに、取り巻きたちまで口撃を仕掛けてくる。
朝から田舎者と弄られきたディオの堪忍袋が、ギチギチと音を立てていた。
「お前ら…!!黙っとれば好き勝手言いおって!!」
ディオが掴みかかろうとするが、その腕をレンが止める。
「なんで止めるんや、レン!お前悔しくないんか!コイツらにここまで好き勝手言われて…!!」
「…」
(悔しくないわけねぇだろうが…。こっちだって腸煮えくり返ってんだぞ…)
だが、ここで暴力に訴えた所で、後でこいつらは権力を振りかざしてくる。
別に、グレイヴに迷惑が行くのはいいのだが、そのせいで学園生活がおじゃんになるのだけは勘弁だ。
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