狂い始めた歯車

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公園を抜ける頃には、夕日も太陽も一日の役目を終えて顔を隠していた。 蓮は公園の遊具などを眺め、小さい頃友人たちと一緒に遊んでいた記憶を思い起こしている。 今でも付き合いがある友人は数える程しかない。 小学校から帰るときは、ここで遊んでからよく帰ったもんだ。 子供らしく鬼ごっこをしたり、カードゲームにはまったりして、砂埃だらけで家に帰り、母が笑って出迎えてくれたりしていた。 (今になったら、何が面白かったのか良く分からないな) 当時のことを思い出し、失笑する蓮。 あの頃に比べたら、自分の平凡さについ笑ってしまう。 いつの間にか心が成長し、恥ずかしさを覚え、人前に出ることにためらいを持つようになる。 子供の頃は、そんな事微塵も考えなかったが… 蓮は懐かしさを覚えながら、公園を抜けた。 「うわ、蜘蛛の巣!?…はぁ~。身長が高くなると、こういう苦労もあるのか…。」 林道に差し掛かった直後、顔面に蜘蛛の巣がヒット。 暗闇の中、突然襲われた不快感に、蓮は情けない声を上げながら蜘蛛の巣を剥がす。 「く、蜘蛛は…いない…よな?」 小さい頃から、蜘蛛だけはどうも苦手だ。 小さいやつから大きいやつまでなんでもありのあの生物。 手の平サイズの蜘蛛なんて、見た瞬間声を上げることなく固まれる自信がある。 しかし、こんな所で固まってたら、わざわざこの道を選んだ意味がない。 (くそ!!ここで止まってたら近道した意味ねぇじゃんか!!) 蓮は腕を顔の前に持ち上げて走り始める。 草や枯葉を踏みしめて走る蓮。 葉が擦れる音を聞きながら、蓮は足を動かしていた。
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