分岐点

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「カノン、あとは任せた。ゲインたちは、私と共に帰ることになる」 「了解よ。私も、ちゃんと最後まで面倒見てから帰るから安心して。…その時は、迎えをルリ辺りに頼むから」 「任せたぞ」 質問すら受け付けずに去ってしまった男。 聞きたい事、言いたいことは山ほどあった筈なのに、口が動かなかった。 疲労だけではない。 恐らく、怖かったのだ。 事実を知る事と、この先自分がどうなってしまうのか…。 そう言えば、ロッティたちはどうしているのだろうか… レンは脱力したように息を吐き出すと、無言で天井を見上げた。 カノンと呼ばれていた女の子は、ずっと開きっぱなしだったカーテンを閉めようと窓による。 「…まってくれ」 「?」 カーテンに手を伸ばしたカノンだったが、レンが止めた。 疑問符を浮かべ振り向くカノンに、レンは視線を向けずに口を開く。 「その…ままで、いい」 「…そう」 もう少し月を見たかった… そうすれば、落ち着いて考えられるかもしれないと思ったのだ。 カノンはベッドにより布団のズレを戻し、カルテらしき紙を取って何か書き始めた。 「おれは…、どれくらい、寝て…」 「…三日よ」 三日… そんなにか… やがて紙に書き終えたカノンは、「今日はもう寝なさい」と言い部屋を出ていった。 まだ何も考える事が出来ないレンは、もう一度首を回して月を見る。 青白い光を部屋に注ぐ月。 ソルヴィも、ノルも、ロッティたちもいない一人の空間。 ん?そう言えば、ソルヴィは…? そう疑問に思ったレンだったが、突然襲って来た眠気に負け、明日考えればいいかと、再び瞼を閉じた。
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