故郷≪ふるさと≫

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    2  俺はどんなにキツい訓練も難なく熟した。  銃の腕前もこの中で叶うヤツはいない。  たった一年でここまで成長出来るのかってくらい俺は成長した。  兵士同士の争いも、必ず俺が割って入る。  なぁに。  どちらも一発ぶん殴ればおとなしくなる。  トラップの仕掛け方だって同じ部隊の連中の目ですら欺ける。  車の運転は戦車仕込みで少々荒いが、いざって時はこれくらいじゃなきゃ戦況は変わらない実戦向きだ。  あとは数年我慢すりゃとんとん拍子に地位が上がる。  すぐに親父に追いつくさ。  俺の周りにはいつもみんなが慕って集まってくる。  記憶の中にない親父像をいくら膨らませてみたってここまでの人望はないだろう。  既に越えてるのかもな。  俺は今に満足している。
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