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「ああ…それは良かった本当によかったよ…」
俺が狂喜に乱舞しているうしろから青白い顔とか細い声で胃のあたりを抑える、これまた中年がひとり現れる。
「かっ!!!萱場嵐(かやばあらし)課長補佐!!おっおはようございます!!!」
おれはビビって声が裏返る。
いや、びっくりしたって訳じゃない。まあ、あれだお決まりの事言われる事を想定しているからだ。
「うん本当によかったよ…これで書類提出の遅れを上の若造にネチネチ言われなくてすむよ…」
そういいながら。小柄の細身なオッサンは、胃薬を飲んで朝日に向かって十字を切って、
「ああ、主よ感謝致します。やっと書類提出、報告書提出に胃を痛める日々が…」
とあさっての方向向いてキラキラしてやがる。
この萱場嵐っつー名前のわりに貧弱なおやっさんは、キリスト教術式の使い手だ。まあ貧弱な感じのわりにえげつない技使うんだけど…基本今は事務方なんで現場に出る事はない。
まあ、この人の胃痛。
俺にも原因はあるがこの課や署員はみんな癖の強い奴の上、ぶっちゃけ、優秀なんだか無能なんだかわけわからん奴らの集まりなもんで、しかも上司が…。
「あー、今日はいい天気だなぁ…。外にいってパチンコでもしてくるかなぁ…」
「関課長~ぉおおお!!頼みますから神魔検やら、本庁へ送検する書類やら明日くる新人の手続きやらその指導研修報告書なんやらおねがいしますよ!!!!上や他署員にチクチク「万年認知症」「パチンコ課長」「昼行灯」「水央署の動物園」だの言われ………………」
とまあ、こんな感じだもんなあ…。
胃痛に悩まされるのもわかるもんだ。
さて、俺はとっとと、言われる前に書類を…。
「東儀君もー!!!早く書類出して!期限過ぎてる!!あと昨日の裁判所から貰った「封魔状」すぐ提出!!封魔状で封じてる魔を早く「結界書庫」に封じて送検して!!、後昨日近隣の森燃やしたって苦情…」
「あー解りました解りました解りました。すぐ処理しますから!!!!」
「返事は一回ってイタタタタ…」
もー好きにしてくれー。
泣きそうだ…。
しかも、ちょっと片付けしていた藤田が萱場さんの顔を見にきて、
「大丈夫ですかー?磯前神社いってくればいいのにー加護もらって治してもらえますよー」
とケラケラ笑って話し掛けやがった。
「…藤田君そもそも君も…」
あーあー、藤田、香ばしいぐらいの馬鹿だわ。ヤブのヘビつつきやがって…。
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