水央署

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とりあえず、課長の呆けた顔を見るのをやめて、今日の事件の報告書と神魔検に送検する書類を用意し、ついでに書類の山の中から一番古く中でも急ぎの書類を用意し処理を始める。 神魔検とは、検察庁の中でも、神魔や異能者に関する事件を扱う検事達だ。 といっても異能犯罪でない限り、神魔事件に関して、俺達、神魔官の対処に違法性はないのかを吟味するだけなのだが…。 下手すると神殺しなんて『6~8年前』には合法だったが。今では重犯罪。 場合にゃ、裁判で極刑だ。 そうでもしないと神達の怒りは納まらず、死人や呪い、祟りの類いが増えるからだ。 魔とて、そうだ。下手すると血を血で洗う。 つっても、魔は自分達のやってる事の報いだと思っているから、意外にも報復は少ない。 なんだかんだ、神様の類いが一番やっかいなのだ。 面倒な時代になったなぁ…。 ため息もでる。 今日の出勤者の顔が、ちらほらと見え始める頃…。課長が思い出したように俺に近づいてくる。 「そーそー、東儀ぃー。」 ずぃっと顔を俺に近づける課長。 近い、近すぎる。 下手すると、この距離はまちがいなくキスの距離だ。 悪いが、男。 特に、50代のオッサンとくちづけする趣味は、俺にゃない。 流石にそんな事態になったら、署内の女という女にキスしないと口直しできん。 つか息苦しい。 そんな事を考えながら、俺は俺がいじるパソコン並のフリーズ加減で固まっていたら。 「東儀ぃー聞こえるかーおーい。ふー。」 課長がそう言いながら、自分のタバコの煙を吹き付けた。 俺は、ゲホゲホとむせ返る。 自分のタバコの煙なら上手いが他人の煙なんぞ顔にかかったら、むせ返るもんだ。 よーし、生きてるなー と課長が言ってきた。 こりゃ、一つなんか文句でもいわねぇと気が済まんと口を開けようとした瞬間。 ずぃっと書類が俺に渡される。 「………何っすか、これ?」 仏頂面そのままに俺は課長から、書類を乱暴に受け取る。 「まったく、機嫌が悪いなぁ東儀…。」 「課長、寝てない上に、タバコの煙をおもいっきり顔に吹かされたら、誰も切れますよ。」 そう課長に返して、書類を見る。 一人の女性の写真と、経歴書が目に入った。 女性は髪はショートボブで、眼鏡をかけた気の弱そうで不安を顔に出した表情をしていた。 よくみると、神魔官の制服を着ている。
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