1、『今日ぐらい会いたいかも』

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「そうですか…。梅さん、柊さんは?」 「あいつも仕事だよ。クリスマスもね。 ま、わたしらも忙しいからさ。それでいいけど。」 「そうですか…。」 寂しいそうな顔をする松。 なんでお前がそんな顔すんだよ。 「やっぱり、ダメですよ梅さん!点灯式、行ってください!」 「はぁ!?なんで…。」 「いいから行ってください!行くべきです!梅さん、きっと心が洗われますよ。 あのクリスマスツリー、不思議な力があるんです。」 松のヤツ。男のクセにクリスマスツリーで心洗われてんじゃねぇよ。 ま、そんなに進めるんなら行ってきてもいいかな。 「わかったよ。ちょっくら行ってくるわ。仕込み、ミスんじゃないよ!」 「はいっ!」 わたしは松を残して、コートを着込み、店の裏から外に出た。 うわー、すごい人混み。 もうすぐ始まる点灯式を一目見ようと、沢山の人が会場につめかけていた。 やっぱりほとんどカップルじゃねぇか。 わたしはコートのポケットに手を突っ込んだまま、高くそびえ立つツリーを見上げた。 灰色の空。 指先が凍るくらいの寒さ。 雪…降るかな。 「楽しみやなぁ!楓!」 「うんうん!こんな近くで見れるなんてラッキーだよね!」 大声で話すカップル。 あ、さっきのダブルデートの大学生じゃないか。 「寒いね、大丈夫?柳くん。」 「あ、う、うんっ。平気だよ。」 「はは!ジミーなら心配いらんて桜!地味なだけに…。」 「ちょ、椿!調子乗りすぎ!」 楓に柳に桜に椿…。 ぷっ。 全員、木じゃん。 おっかしいの。 って………梅も木だった。
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