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ピルルルルル…。
ポケットの中の携帯が鳴った。
ピルルルルル…。
わたしは顔を上げずに、ポケットから携帯を取り出した。
「………はい。」
もっそいかすれた声が出た。
ちょっと恥ずかしい。
『梅!』
電話から聞こえてくる声。
ま、まさかっ…!
「ひ、柊!?」
『よかったー!出てくれて!あれ?仕事中じゃないの?』
「や…今休憩中で…。」
『梅っ!なら外見てよ!めっちゃキレイだよ!クリスマスツリー!』
「え…?」
わたしは思わず顔を上げた。
あ…。
うわぁ…。
キレイとか一言で言い表せないよ。
その眩い温かい光が、わたしの心の中に染みてゆく。
こんなにすごいイルミネーション…観たことないよ。
ポロポロこぼれる。
涙が止まらない。
「キレイ…。」
『だろ!?すごいよな!こんなにすげぇツリー初めて見たよ!
あ、梅…もしかして、会場に…いる?』
「うん…あはは、はしゃいで来ちゃった。」
『え?どこどこ!?俺も会場にいるんだけど!』
「は?あんた仕事でしょうが…。」
『あーっ!!梅めーっけ!』
「ちょ、人の話聞け…」
その時、温かいものがわたしを包み込んだ。
「梅。みぃつけた。」
「柊…!」
「びっくりした?」
柊がにっこり笑いながら、背後からわたしを優しく包み込んでいた。
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