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「どうしたんです?」
…清四郎……。
「グスッ……何でもないですわ」
「じゃあ何故泣いてるんですか」
「…………」
「…とりあえず」
座れる所に、と清四郎は言って、空き教室に連れていった。
「それで?何故泣いてるんです?」
話してしまおうかしら……
話したら少しは楽になるかしら…
「……美童が……」
私は、美童がした事、私が思ったこと全てを清四郎に話した。
「…約束…しましたのに…どうして…!!」
少し間を置いて清四郎が話しだした。
「…それは野梨子のことを思ってしてしまったんだと思います」
「え?」
「美童は今までは自分のペースでやってきたんだと思います。大抵、相手の方から惚れ込んで美童に近づくケースだったんでしょう」
確かによく考えたら…。美童もまんざらでもなさそうでしたけど。
「ですが、野梨子は違います。美童が自分から惚れてしまった、好きになってしまった。そして何度も野梨子に申し込んで、やっとのことで受け入れてもらえた。
ですから、今まで以上に大切にしなくてはならない。
だから、いつものようにできない。
…あまり言いたくないですが、美童は直ぐに…寝室に行く…らしいんですよ…。
でも、野梨子には出来ない」
「何故、何故ですの?」
「……野梨子を傷付けないため、汚さないため、ですよ」
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