第三章「異形への誘い」

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つい口ずさんでしまった。 仁木は微笑みながら眺めている。 その視線を感じた春江は我に返り、頬を赤らめながら俯いてしまった。 「久しぶりなんで……つい……」 「いいじゃないですか。それにしてもお上手ですね」 「私……音楽が大好きなんです。女学校でバイオリンを学んでいました。歌も……同じ音楽なので、勉強したんです」 「バイオ……リン?」 仁木は明治の軍人、西洋の楽器であるバイオリンを知らなかった。
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