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つい口ずさんでしまった。
仁木は微笑みながら眺めている。
その視線を感じた春江は我に返り、頬を赤らめながら俯いてしまった。
「久しぶりなんで……つい……」
「いいじゃないですか。それにしてもお上手ですね」
「私……音楽が大好きなんです。女学校でバイオリンを学んでいました。歌も……同じ音楽なので、勉強したんです」
「バイオ……リン?」
仁木は明治の軍人、西洋の楽器であるバイオリンを知らなかった。
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