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でも、この日は。
24日だけは、どうしてもダメなんだ。
「あの……」
だからあたしは、せめて誠心誠意謝ろうと口を開きかけた。
「あれ?桃瀬さん、都合悪いんですか?」
するといきなり男の人の声が、あたしと梨じぃの間に割って入った。
次いでふわりと漂う、清涼感のある香り。
「おぉ、栗原くんか。わざわざ来て貰って悪いね。ちょうど今、桃瀬くんに話していた所なんだよ」
梨じぃがそう言いながら、あたしの隣に目線を送る。
く り は ら く ん。
いやまさかそんな、主任自ら来るなんて事……でも、うちの会社には他に『栗原』っていないし。
「困ったな。うちの女子だけじゃ手が足りなくて、それで梨本課長に応援をお願いしたんだけど……」
どうしても、駄目かな?
請うような声音に、あたしはギギギ、と音がしそうな動きで、首を横に向けた。
「……………………………………」
「桃瀬さん?」
……ひゅっ。
栗原さんに間近く顔を覗かれて、無意識の内に止めていた呼吸が再開する。
うーわー、噂に違わぬイケメン。近くで見ると破壊力ハンパないわー。
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