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「あいつ遅刻確定したから逃げやがったな!!」
彼は階段を駆け上がり、二限目に間に合うように走ったが時すでに遅し。始まりの鐘が鳴り響いていた。
急いで駆け上がりながら二限目が担任の授業である現国であることを思い出す。
「やべぇ…すでに憂鬱だ」
憂鬱という言葉が出てきた自分に関心しながら三階の廊下にたどり着く。廊下の突き当たりに教室の前入り口が見える。
こっそり入りたい彼は突き当たりを曲がり、後ろの入口へ向かおうとしたのだが。
角を曲がる前に奇跡的に躓き、教室の前入口に激しく体当たりして教室のドアと激しい騒音と共に入室した。
「お前は…」
担任である春木先生の震えた声が聞こえる。
「遅刻してきたのならもっとこっそり入って来い! スタントマンもびっくりな体当たりアクションで入室しよってからに!」
「えーと遅刻しました。あと、ドアがなんか外れました」
外れて倒れたドアに乗っかったままバツが悪そうに彼は言った。
「遅刻したのはわかっとるわ! 理由を聞いてるんだ! あと自然にドアが外れたみたいに言うな!」
婚期を逃しつつある三十路の春木はこめかみをぴくぴくさせている。どうやらいつもよりも機嫌が悪いらしい。
「全く転校生すら遅刻してるんだぞ…三人とも。全く朝礼までには来るように言っておいたのに…」
その時静かな廊下を甲高い声が響いた。
「一体どういう事なの? どうして帯刀してるだけで罪になるわけ? この世界はおかしいわ!」
「ボクに言ったって知らないよ」
「法で定められている。仕方ない」
「その法がおかしいって言ってるの! 丸腰でどうやって背後から斬りかかってきた敵と戦えって言うのよ!」
「こっちの世界ではいきなり背後から斬りかかられるってことはないと思うよ?」
「なんて平和惚けした世界なのかしら?」
「斬りかかってきてほしいの?」
「そんなわけないでしょ!」
声の主を確かめるために彼は廊下へ出た。紛れもなくそれは昨晩出会った少女達だった。
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