509人が本棚に入れています
本棚に追加
「マリカちゃんどう? お兄ちゃんの様子」
急に倒れたあきらを保健室に運んだマリカ達は彼をベッドに寝かせた。保健の先生は休暇を取っているらしく不在である。
「今は安定してるわ。ただ二回も同じ事が起こるなんて…。どういうことかわかる? それとルシアはあたしたちの事知らないみたいだったけど…」
「今解析する」
「ミント、ドアに鍵かけて」
「らじゃ~だよ」
軽快なステップでドアまで行くとガチャリと彼女は鍵をかけた。
「じゃあユア始めて」
「わかった」
少女がベッドで眠る彼に近づき手をかざす。すると紫色の幾何学的な紋章が浮かび上がる。そしてその下部にある不思議な文字の書かれたまるでパソコンのキーボードにも見える部分を軽快に指で弾いて行く。
「ねぇ? マリカちゃん? 門を通過したら記憶って消えるものなの?」
「そうね。情報の露出を避けるためにそういう風に造られているって聞いたことあるけどあんまり効果は無いみたいよ。それにあたしたちみたいな能力者には全く効果はないわ」
「そうなんだ」
ミントが言い終わるのとほぼ同時にユアのキーボードを弾く音が止まった。
「解析終了」
「それで結果は?」
「恐ろしい技術。ほぼ完璧なロックがかけられている」
「どういうこと?」
「彼の記憶は完璧に封じられた上に、幾重にもロックがかけられている。その上一部の人間との接触を極端に避けるようになっている。そして記憶と共に彼の能力も完璧に封じられている」
「この状態では普通の人間と変わりない」
「そんな…! 解くことはできないの?」
マリカは取り乱しながら身をのりだした。
最初のコメントを投稿しよう!