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「ん? なんで俺保健室で寝てるんだ?」
あきらはきょろきょろと辺りを見渡した。そしてマリカ達に気づく。
「うわっ!? 出たな頭痛女!」
マリカをあきらは指さす。
「あ・た・し・はマリカ! 覚えときなさい!」
「…なによ頭痛女って」
腕を組みながらマリカは不機嫌そうにブツブツと呟いた。
「昨晩は悪かったわね」
呟くように、そっけない感じで謝るマリカに対しあきらは《気にしなくていい。取り乱した姿には驚いたけど》と言おうとしたのだが、ちょうど頭痛が彼を襲い
「気にしな…う! …いぃ! 取り乱した姿…はぁはぁ」
とういう言葉だけがなんとか飛び出した。
これでは欲望をカミングアウトしただけのただの変態である。
「ほほら、お兄ちゃん疲れてみたいだし、じゃあ安静にね。ささ、マリカちゃん行こうよ」
若干引き気味のマリカの背中を押してミントは保健室から出て行く。ユアは静かに後ろをついて来ていた。
「あ…! ごめんなさい!」
ドアを開けたマリカは一人の少女とぶつかりそうになった。
『え?』
その少女とマリカの声がハモった。その理由は。
「同じ顔?」
マリカと瓜二つの少女が立っていた。髪の色や、髪型の違いなどはあるが。
「杏! 見舞いか?」
「あきら! もう、びっくりしたよー」
マリカに軽く会釈した少女は、三人の合間を抜けてあきらのベッドに駆け寄る。
ガラガラピシャン。
彼女の後ろでドアを閉める音がした。
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