第一章 始まりの鐘

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「リムル!!!」 突然近所迷惑もいいところな大声を上げて少年はベットから転げ落ちた。 額には大量の汗が滲む。 「いってぇ…ってか俺、何叫んでたんだ!?」 一人暮らしのその部屋には答えてくれる者など無く、バツが悪そうに髪を掻き上げ時計を見る。 午前6時30分。 あと少しだけ寝れるな。 そんな気持ちで、彼は痛む頭を抑えながら再びベットに潜り込んだのだった。 季節は桜がすっかり散ってしまった高校二年の五月の話である。 あと少しだけと眠ってしまった挙句、結局起きれなくなり寝坊してしまうという悪循環は誰でも経験があると思われるが、この少年も例外ではなかった。 「げぇ!? もう八時半!?」 彼はベットから飛び起きた。 「遅刻しちまう!!」 慌てて身支度を行い、アパートから外へと飛び出した。 彼の名前はあきら。桜田学園に通う頭が良いわけでもなく、運動神経が秀でている訳でもない極普通の少年である。 ただ12歳以下の記憶が一切なく。樹海の入口に一人で呆然と佇んでいた所を発見されたということ以外は。 発見後彼は身寄りもなく、身元も分からない為、そのまま施設へ預けられたのだった。 「おはようございます」 部屋から飛び出し、階段を慌てて降りた彼へ、爽やかな挨拶が投げられた。 「お前!?」 そこに立っていたのはクラスメイトのイヅキである。 爽やかな笑顔にさらっとした髪。ルックスもよく身長も高い、いわゆる美少年である。 さらに彼は勉強もでき運動神経も抜群、もちろん女子生徒からの人気も抜群だった。 しかし女子生徒のアプローチをことごとく断った彼はある疑惑がもたれた。 女性には興味が無いのではないかと。 なので同じクラスに他に男子がいないから仕方ないのではあるが、やたら話しかけてくるイヅキに対し、あきらは警戒心を抱いてたのであった。
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