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「あきら~!! 久しぶり~!」
あきらは突然背後から衝撃を受け、前のめりになる。
背後にぶつかってきた人物は。
「辰人…!!」
「よっ!」
軽快な返事で手をあげ答えたのは、長身の男性。髪の毛は癖っ毛でくるくると巻いており、肌は黒く焼けている。
その男性は黒い肌から白い歯を見せて笑う。仕事に向かう途中らしく、作業着を着ていた。
「あっぶねーな! ってやめろ!」
辰人はあきらの頭をくしゃくしゃに撫でた。
「久しぶりだな~相変わらず小さいし、色白だし顔もばっちり二重の女顔のままだなー。髪質も女みたいだぞ?」
「うるせぇ! 俺が小さいんじゃなくてお前がでかいんだ! 俺が白いんじゃなくてお前が黒いんだ! 俺が二重なんじゃなくてお前が一重なんだ!」
「最後のは意味わからんぞ」
複数のコンプレックスを一気にいじられてあきらは怒った。
「ははは…悪い悪い!」
白い歯を見せながら辰人は笑い、叩いてくるあきらをいなしていく。
それは兄弟や親子のような優しく温かみのある光景だった。
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