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隼は、神社に向かった。
その神社には、神主と巫女の2人しかいない。
「隼っ!!逃げる準備した?早くしないと置いてきぼりだよ!?」
隼を見掛けるなり、すぐに近づいてきたのは巫女の蘭子である。蘭子は、里の唯一の巫女であり隼と疾風の幼馴染みで、何かと隼と疾風の心配をしている。心優しい巫女である。
「俺はもうできている。心配無用だ。」
隼の顔に笑みがこぼれた。それを見て、蘭子もニッコリと笑った。
「お蘭…。逃げるとき、気をつけろよ…」
蘭子は、笑っている。
「大丈夫!!いつでも、隼が守ってくれるから」
笑顔で答える蘭子に、隼は勇気と自信をもらった。
「そうだな。じゃあ、俺はちょっと里の皆を見てくる」
「うんっ!!いってらっしゃい」
そして、隼は里をでた。
里をでてすぐに、武装した軍隊を見つけた。
その数は、100や200ではなかった…
隼の予想を越えるほどの数だった。軽く数えて、1000人はいる。
「思ったより数が多いな…。森に誘い込み確実に減らして行くか…」
そのころ、里では逃亡の準備が終わり抜け道を使い逃亡を始めていた。
「疾風~っ!!隼は?」
蘭子は、逃げながら隼を探していた。
「疾風兄さん。蘭さんが呼んでるよ?」
疾風は妹の彩香と共にいた。
「どうした?蘭?」
「隼の姿がないんだよ!?」
蘭子は不安な表情で疾風に尋ねた。
「隼は、最後尾で追っ手の監視をしている。だから、心配せず逃げることだけを考えろ」
蘭子に、そう言って騙した。本当のことを言ったら、蘭子が引き返すのもわかっていたし、その蘭子の行動で皆が混乱するもわかっていたからだ。
「そっか、隼がやりそうな事だな」
そう言って、蘭子は笑顔で歩いていった。
「兄さん…最後尾は私逹じゃないの?」
彩香は疾風と自分が最後尾なのを知っていた。
「そうだ…」
疾風の言葉に彩香は動揺を隠せなかった。
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