第三章 始まりの夜、終わりの朝

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「私の復活を手伝ってくれた……セシルの能力を継いでしまった、あの子」 「…………っ!」  セシルの能力を継いだ人間。  それはシータの知っている限り一人しかいなかった。  エドワード・ロイズ――  名前こそ知らなかったが会っている。  確かに、あの子はセシルの聖剣を持っていた。 あの子の口からはエルフェントの魔力が臭った。私の復活を手伝ってくれたあの子、とエルフェントは言っていた。  おかしい。 そう、今考えてみてもおかしい。  あの時はエルフェントが復活してしまったからとあの子は放っておいたけれど……けれども、何故私は聞かなかったのだろうか。  セシルに選ばれておきながら、エルフェントの復活を手伝ってしまうなんて……それは本当にセシルに選ばれていると言えるのだろうか。いや、むしろ本当にセシルに選ばれたのかどうかも怪しい。  聖剣を持っていただけで、ただそれだけであの子はセシルに選ばれている、と決め付けてしまっていた。  つまり、これはどういう事だろうか。 あの子はセシルに選ばれた人間でありながら、同じ神の力をもつエルフェントの存在に気付かなかったと言うのか、とシータは思考を巡らす。
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