序章

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■ ■   一三八八年七月二九日。 僕にガールフレンドができた。 相手は彼が以前から好意を寄せていたエル。 今日思い切って告白したらエルはOKしてくれた。嬉しかった。その瞬間、世界が滅んでもいいって思ったね。でもやっぱり滅んでほしくない。これからエルといっぱい幸せになりたいから。  その帰り道は二人で手をつないで帰った。エルの手はとっても柔らかかった。緊張で手に汗を握りそうで怖かった。汗ばんだ手で女の子の手を握るなんて、そんな男だと知れたら嫌われそうだから。  途中、急にエルが悲鳴を上げた。慌てて尋ねると、エルの足元に二十センチくらいの小さな白ヘビがいた。僕はすぐさまその白ヘビを追い払ったけど、エルはくるぶしの近くを咬まれていた。あのヘビは毒をもっていたかもしれない。僕は毒が回らないようにと、すぐに毒を吸い出した。正直恥ずかしかったけど、エルの命に関わっていると考えるとそんなこと気にしていられなかった。  毒を吸い出して止血をするとエルは僕の頬にキスをしてくれた。 ありがとう、エド。と耳元で囁いてくれた。嬉しかった。可愛かった。 その後も二人で手をつないで帰った。僕とエルの分かれ道が来るまで。
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