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「ん? ディーンさんのお子さんは? 一緒ではなかったのですか?」
「いや、あいつはまだ森の中で反省させている」
「そ、それは危険ですよ! すぐに助けに行かないと!」
小太りの町人が焦りを露にして言う。しかしディーンは小さく息を吐き、首を振り、再び歩を進め始める。そんな背中を不安そうに見守っている小太りの町人を含めた三人はディーンの息子に何かあったのか、と心配を隠せなかった。三人が微動だしない中、フランツは静かにディーンの後ろをついて行き、途中で体ごと三人に振り向いて口を開く。
「ロイズさん自身が一番お子さんのことを心配しているんですよ……。だから我らはそんな彼の忍耐を無下にしないように……何も言わずについて行きましょう」
フランツはディーンに聞こえない小さな声で町人たちに言うと、踵を返してディーンの後を追っていった。町人たちは互いに顔を見合わせると目で語り合い、同じくディーンの後を追っていった。
「ディーンさん!」
「おお、ショウか。どうした?」
草木を掻き分けながら進むディーンの元にショウが駆け寄ってきた。その表情はどこか輝いていた。まるで子供が親に自身の自慢の何かを見せる時の様に、満ち溢れた眼をしている。
「これ、何だと思いますか!?」
そう言って差し出したショウの手の中には三十センチくらいの白い蛇の脱皮した皮があった。
「何って……白蛇の皮じゃないのか?」
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