第三章 始まりの夜、終わりの朝

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「そして、オリウスはこう言った。力を授ける、この世界を霧から護る事、それが君たちの使命だ、と。オリウスが言い終わると、ほぼ同時に目が覚めた……浜辺だった。姉ちゃんも俺の傍に横たわっていたよ。溺れたところからかなり流されて、ジバラートの町も小さく見えるくらい……遠い所だった」  戻る頃には日が沈んでしまっていたからあの時は大変だったよ、と言ってマイケルは苦笑した。  エドワードは自然とセシルを思い出す。  突然目の前に現れて、言いたい事だけを言うと早々に立ち去っていった――正確には飛び去っていた銀髪のセシルはエドワードに聖剣を渡した。  エドワードは聖剣を授かった。  マイケルの言う力と同じ様に。  神から、授かった。 「あとから聞いたんだけど、姉ちゃんもあの時、俺が見た夢と同じ夢を見た、と。……そこで俺はようやく気付いたんだ。気付かない方がよかったのかもしれないけど……俺と姉ちゃんはオリウスに選ばれたんだ。助けられたんじゃなくて選ばれたのだと」  エルフェントを滅ぼす使徒として、とマイケルは言う。  その言葉はひどく含みのある言い方に聞こえる。
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