第三章 始まりの夜、終わりの朝

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「その瞳……オリウスが怒った時の瞳にそっくり」 殺したくなっちゃう、とエルフェントは口を歪ませて言う。  悪寒。  シータはそんなエルフェントの微笑みを間近で見て背筋が凍る。死、という単語がシータの脳裏を過ぎる。  殺される、と。 「でもね、まだ殺さない……」  エルは相も変わらず口元を歪めながら言う。 「あなたにはまだまだ恐怖して欲しいの……。私の退屈しのぎに付き合って欲しいの」 「……退屈しのぎ?」 シータは恐怖しているにも関わらず、思わず言葉を発する。 「そう、退屈しのぎ……」 エルはくすりと可愛らしく笑い、シータから目をそらして何もない山の向こうに視線を向ける。 「待っているのよ。アレックスの末裔……そして、私の復活を手伝ってくれたあの子を、ね」  その言葉に誰よりも反応したのは二人の傍らで倒れているディーンだった。
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