第三章 始まりの夜、終わりの朝

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 アレックス……アレックス・ロイズ。 ロイズ姓。 そしてその末裔。  仮に本当にアレックス・ロイズが自分の先祖だったとしても、今、ディーンは末裔ではない。  ディーンには息子がいる。 一人息子が。  エルフェントはディーンと目を合わせて、あの表情を浮かべる。  あの旧知の恋人に向けるような優しい微笑みを、嬉しそうな目を。 「……一体、誰を待っていると言うの?」 シータは解っていないようだった。  ディーンは悟っていた。しかし、その考えは外れていて欲しいと切に願うが……それは叶わない。  エルフェントはシータへ目線を戻し、先程と同じ、ニヒルな笑みをして言う。 「私が待っているのはね……あの子よ、エドワード。エドワード・ロイズ」 「エドワード……?」 名前を聞いてもシータは思い当たる節が無く、おうむ返しに尋ねる。 「ええ……そう」  エルは答える。
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