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―と、モニター越しに羅希がこちらに視線を向けている事に気付く。
羅希が小さく頷くと、飛鳥ははっとして指令を下した。
「『凰呀(おうが)』の射出用意!残りの電力で、出来るわね!」
「はいっ」
莉菜は元気よく応答すると、キーボードを操作し、通信する。
「凰呀を射出します!三番カタパルトへの移動お願いします!」
「さて、おとなしく来い!」
言いながら、屈強な男は羅希の腕をひっつかむ。
「それってずっこくない?それにさ、俺のタイムリミット、あと3分くらいなんだよね・・・」
緊張感なく言う羅希に、男は激しく青筋たてまくる。
「そうかよ!ならてめぇはここにいろ!!娘だけ」
ごぉん
鈍い音がなり響く。
男はそのまま砂の上へ勢いよく突っ伏した。
「てめぇっ一体なにしやがった!」
事態に気付いた男の一人が、もはや出発寸前のトラックの荷台から大声を上げる。
―と、男を薙ぎ倒し、上空高く跳ばされていた何かが、羅希の手の中へ落ちてくる。
それは、船から射出された『凰呀』―その名を持つ羅希の愛刀だった。
鍔に鳳凰の彫りがある特徴的な刀である。
「貴っ様ぁぁ!!」
男達はトラックから飛び降りると、様々な武器を手に羅希達を取り囲む。
「ったく馬鹿な連中。おとなしく逃げてりゃもう少しの間だけはシャバにいられたってのに。」
言いながら刀をすらりと引き抜くと、陽の光を浴びて刀身が鋭い光を放つ。
「それに・・・」
羅希の表情が、これまでになく真剣なものに変わる。
「俺のタイムリミットは、2分を切ったぜ!」
どべしゃぁっ
またも突っ伏すその他一同。
「そんな真剣な顔して言う事ですか!」
そう突っ込みを入れたのは、意外にも今まで黙っていた娘だった。
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