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―とりあえずさておき―
「野郎!!なめやがって!」
「ぶっ潰せぇ!!」
あれこれ怒声を上げながら男達は一斉に羅希にとびかかった。
羅希は自分の後ろに娘を下がらせると、刀を頭上高く降り被り―
どっ
そのまま足元に突き刺し、そして―
「地雷翔(ぢらいしょう)!!!」
ごあっ
叫びと共に、羅希の全周囲、男達の足元の地面は火山の如く爆発した。
ばたばたと、一掃される男達。
だが―
ぎぃん!
金属同士の交錯音が、辺りに響き渡る。
間髮いれずにかしらが放った槍の一撃を、羅希が受け止めたのだ。
「かかって来るなら一度にかかって来てくんない?もう時間ないのだよ俺には!」
「生憎、その他一同に混じるつもりはなくてな!『神魔の英雄』さんよ!!」
かしらの言葉に、羅希は眉をぴくりと跳ねさせた。
「何だ・・・あんた軍人上がりか?」
「そんな・・・所だっ!」
ぎゃんっ
力任せに降り抜いたかしらの横薙ぎの一撃を、娘を抱きかかえて、後ろへ大きく跳んでかわす。
羅希はすかさず娘を下ろしてかしらにとびかかる。
上段からの一撃を、かしらは難無く受け止めた。
「元軍人さんが、部下を集めて盗賊団?ありきたりすぎなんじゃないの?」
「厳しい軍規の下で何年も耐えたんだ。残りの人生、面白おかしく過ごしたっていいだろ?」
あまりに横暴な理屈だが、羅希はまともには聞いてなかったりする。
鍔競った状態から、羅希は再度大きく後ろに跳んで、間合いを取る。
―と、無形のままかしらのほうを見る羅希の顔が微かに青ざめる。
その変化には誰も気付いていない。
そんな羅希をよそに、かしらは内心歯噛みしていた。
明らかに自分より強い事がわかっている相手にガチ勝負を仕掛けるつもりは毛頭ない。
不意打ちのつもりの最初の一撃がかわされた以上、あとはどう撒くか・・・
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