出逢いは。

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君を 失って 恨んで 恨んで 私は 祟り神に なった 暗い 地の底に 身を這わせ 只 祈る 君以外の 大事な モノなど 私には、在りはしない 在りはしないのだから 君以外に、心動かすモノなど 在っては為らない あぁ 人間達が また 贄を放り込んだ 放り込まれたのは 死にかけた子供 逃げないように 折れた手足を 更に潰され 叫べぬように のどを切られた 深い傷がある 生きている事が 不思議な 余りにも 無惨な子供 「見逃して 欲しくは無いか?」 閉じた まぶたが 開く 現れた 深淵の瞳が 否と応えた 『もうすぐ終わる』 それきり 子供は まぶたを閉じ 動かない 死の 気配は 色濃くなる あとから思えば ――気まぐれを 起こしたのは 私の方なのだ (……気まぐれでは 無かったのかも 知れない) 子供は こんな暗闇で 死ぬと云う 最期に 嬉しそうに 笑んだ
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