5人が本棚に入れています
本棚に追加
パフと近い年頃の、ハイネという名前のドラゴンがいた。
パフとは対照的な真紅の鱗を持つドラゴンで、パフより一回りは大きく、また海のように青い目が凛々しい。
パフとは幼い頃によく遊んだ仲であったが、パフが独りで洞窟に棲むようになって以来、あまり会っていなかった。
今日が、十年振りの再会となる。
「まさかパフ、君が人間と仲良くやっていたとはね」
辛辣な言葉を紡ぐハイネに、パフは不愉快そうに翼をバサバサとはばたかせた。
「ハイネ、君に言われる筋合いはないよ。かつての君は、人間と友達になれる日を、ずっとずっと願っていたじゃないか」
「あの頃はまだ、俺もパフも子供だったんだよ。人間と友達になんて、どだい無理な話だ」
クックッと喉を鳴らし、嘲笑するハイネ。
パフは牙を剥き出して唸った。
「ジャッキーは友達だ。それは偽りようのない、真実なんだ」
「ジャッキーだか誰だか知らないが、人間は俺たちドラゴンより早く大人になる。ドラゴンの存在なんて信じなくなるのさ」
「それは違う!」
「違う? 何が違うんだ、パフ」
ふっと、ハイネがパフの鼻先に炎を吹き掛ける。
「人間は、年を取るごとに臆病になっていく。昔はただ無邪気に遊んでいられたドラゴンに、恐怖すら感じるようになるんだ。違うか? パフ」
最初のコメントを投稿しよう!