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「…あー、…ごめん」
急に、ケイさんの顔が曇る。
そうだよな…。
僕なんかと一緒に、ケイさんが買い出し行ったりしないよな…。
「…佐久間。私さ、
年明けに京都離れることにしたんだ。だから…」
「…え―――!?
ちょ!ちょっと待ってケイさん!!
なんでそんな、突然…!?」
僕は、目の前が真っ暗になる。
真っ暗な世界で、ケイさん以外、何も見えなくなる。
「…突然ってワケじゃないさ。
私の中では、前々から決めてたことだし…。
京都駅のイルミ企画に携わるのもこれが最後ってワケだね。
だからさ、悔いを残したくないんだよ。京都での、最後のクリスマスに…!」
…そりゃないよ、ケイさん!
僕、ケイさんのこと…!
「…そりゃまぁいいとして、このあみぐるみ、どうする?
佐久間、せっかくだからこの子も一緒に飾っといてよ!」
「…いや、それよりケイさん!
ホントに、京都から出ちゃうんですか!?」
「…だーかーらー、さっきからそう言ってんだろ!何度も同じこと言わせんな!
今日の私は本気だよ!絶対に、悔いは残さない!」
ケイさんが、腰に両手を当てて宣言する。
相変わらず、仕事熱心だよな。
確かに今の会社じゃ、ケイさんの才能は活かせない。
キャリアアップのための転職なら、心から応援したい。
でも……。
でも、僕の気持ちは……!
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