35人が本棚に入れています
本棚に追加
店から学校までの距離、約400メートルぐらいを俺と優、二人話をしながら並んで歩く。その短い距離の間、街行く女性の殆どがこちらに振り返りこそこそと耳打ちしている。
『あの高校生格好いい。』
『右側ヤバいね。』
右側とはもちろん俺…じゃないですごめんなさい。もちろん優のことだ。
べっべつに悔しくなんかないんだから!
いいだろうこいつ格好いいだろ!俺の彼女なんだぜ。
あれ…。なんでだろう…。
前が霞んできてよく見えな…。
優は女なのになぜ格好いいと言われたのかって?
なぜならそれは、優は男子の制服を着ているからだ。女子の制服は身長と美形寄りの顔立ちのせいでバランス悪いからと言って、着ようとしない。そのせいで優はいつも男に間違われる。というより、学校内だけでも本当に男だと思っている人も少なくはない。だから俺達をホモだと思っている人だっているのだ。俺達はノーマルだっての。考えていくほどに憂鬱になっていき、思わずため息を吐いた。
「どうしたの達哉?」
「いや…なんでもない。」
優は不思議そうに俺の顔をのぞきこむ。俺はとっさに笑顔でごまかした。それから雑談をしながら歩いていくと、五分もしないうちに学校に着いた。
最初のコメントを投稿しよう!