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「いつものことながら朝からお疲れの様だな。」
裕也は笑いながら俺の頭に手をのせた。俺はあまりにもだるかったために顔をふせたまま、その手をどける。
「まぁな。でも毎度のことだから慣れてるけど。」
俺は頭をゆっくりと上げ、優へと視線を向ける。すると沙代は優を起こそうと体を揺すっていた。
「おまえらいつから付き合ってるんだっけ?」
「えーっと…幼稚園?」
「は!?」
俺の答えに裕也は思わずマヌケな声を出した。沙代はどうしても起きない優の長めの癖毛を引っ張っている。
「ほら、ガキの頃の結婚式ごっこって一回はするじゃん?それが優にとったら遊びじゃなくて本気だったみたいでした次の日から「達哉は僕のだから」だって。俺はなんのことだかわからないのに頷いてそれからずっと。笑っちまうだろ。」
「尊敬する意味で笑うわそれ。俺と大違い過ぎて。まあもう落ち着いたけれど。」
裕也はそう言って沙代を愛おしそうに見つめた。裕也はクールな性格だけれど女遊びは中学時代人一倍派手だった。でも沙代と出会ってまっすぐさと純粋さに惹かれ、裕也は変わった。以前の裕也からはこんなに優しい表情は見られるなど想像もつかない。そんな沙代は…やはりどうしても起きない優の頬を引っ張っている。
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