第零話~牙と一が生まれる前の話~

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そのものはニヤリと笑う。 しかし刀を振り下ろした先には竜舞はいない。 「私が気付かぬとでも? お前は私をなめ過ぎたな」 竜舞はそのものの背後に立ち告げる。 そのものはここの門下生だ、そして恵を好意に思っている。 こいつからすれば恵に構われ、うやましいだけでは、自分よりも強いという事にいらつきを隠せないのだろう。 「うるさい、お前は恵さんをたぶらかす男だ。 殺しても構わない」 そのものは振り返り斬撃を繰り出す。 しかしその刀の先には竜舞はいない。 「成る程な。 殺人鬼とかに殺されたとすればいいと考えているんだな。 まあそんな考えも無駄だがな」 竜舞はそのものの真横に立ち、首ねっこを叩き気絶させた。 そのものは気絶するも刀から手を離さない。 「刀を離さないという事だけは褒めてやる」 竜舞はそのものを見た。
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