第零話~牙と一が生まれる前の話~

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しかし竜舞には一つ困った事がある。 竜舞の背後に麗しい程に美しい女性が抱きつこうとしていた。 竜舞はひょいと横に避けた。 女性は竜舞がいた場所に転げた。 「痛いではないですか? 照れ隠しし過ぎです」 女性は立ち上がり竜舞を見た。 この女性は大江道場の娘、大江恵(おおえめぐみ)。 竜舞に暇がある毎に構ってくる。 出会いはこの道場に来た時。 その時からこんな感じだった。 「誰が照れ隠しだ。 出会った時からそうだが、何故私につきとまう?」 竜舞は不審そうに恵を見た。 恵はモジモジし、中々答えない。 「まあ気にならんから答えなくたくば答えなくていい。 鍛練をしてくる」 竜舞は恵に背を向け歩き出す。 「隙あり」 恵は竜舞に突っ込む。
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