第一章

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「冬架(フユカ)機嫌なおしなよ。悪かったってあんなに笑って。」 そう言いつつも隣を歩く親友はまだ表情筋が緩んでいる。 ちょっと思い出しては小出しに思い出し笑いをしている。 「ちょっと、ホントに悪いって思ってんの?!」 「思ってる、思ってるって。だからさ、あそこの公園の水場で膝洗ってベンチで待ってなよ。今絆創膏とか買ってきてあげるから。」 そう言って親友はあたしを置いて近くのコンビニへ向かっていった。 たしかに、ちょっと出血量が多いし… これも全部このバナナのせい… 私はつい先刻転ばされたバナナの皮を見た。 誰だよ。こんなとこにポイ捨てしたやつ!! まったく! プリプリしつつもとりあえず傷口を綺麗にするためにひょこひょこと歩き近くの公園の水場へ行く。 歩くたびに思いのほか痛みがあった。 水場でおっかなびっくりだったがなんとか傷口を洗い終え近くのベンチに座り親友をまつ。 夕日もあと少しで隠れて夜がくる。 もう薄暗く公園には誰もいない。 なんがか不気味で少し怖くなった。 「麻紀…まだなの~…?」 つい、呟いてしまった。 ホント今日はついてない。 足もヒリヒリして痛いし、さっきの醜態を思い出して心も痛いし。
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