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「…か!」
「…ふゆか!」
目がさめたら自室の天井が目に映った。
起き上がると麻紀が心配そうに私を見ていた。
「このバカ!運悪すぎ!なんで誘拐されそうになってんのよ!!」
運が悪いのも誘拐も不可抗力ですよ。麻紀さん…
「麻紀…どうして…なんで…」
てか、どーやってここに?
「巳白さんに運んでもらったのよ!」
「誰…」
たしか、あたしはチンピラどもに誘拐されそうになってた気がするんだけど…
「あんたが、チンピラたちに誘拐されそうになったとこを巳白さんに助けて貰ったんでしょ?そんでそのあと安心して眠っちゃったからここまで運んで貰って!どこまで世話かける子なの!!だいたい寝るってどうなの?あんたは、神経かなり図太いけどあんな美人の前で寝れるなんてすごいわ!あたしなんか息するのさえ胸がドキドキしすぎて困難だったのに!しかも傷口だって実はそんなに酷くなんかないくせにあたしをパシらせるからこんなことになるのよ!ケチャップでも仕込んでたの?!」
「ちょ…ちょっと待って!」
怖い顔の麻紀にあたしのおばかな頭はパンク寸前だ。
「だから!巳白ってダレ?!」
「あんた恩人…しかもあんな美人をなんですぐ忘れられるの…」
「忘れるもなにもあたし知らないし!てか、傷口はものすごい酷くて肉までぱっくりいってる勢いで今だってめっちゃいた……くない?」
ふと思い出した傷が全然痛くない。布団をめくって膝小僧を調べるけど微かな傷跡みたいな線はあるけどコレが消えるのも時間の問題のような痕だ。
「えっ?えっ?」
「どーしたのよ…」
麻紀が訝しげに聞いてくる。
「傷がない…」
なんで?あんなひどく血が出てたのに…
スッゴく痛かったから逃げるの遅れて腕捕まれちゃって車乗せられそうになったのに…
「大丈夫?冬架?やっぱり怖かったしショックだったよね…責め立ててごめん。」
あんまりにも困惑するわたしにさっきまで殺気だってた麻紀が大人しくなる。
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